保坂内科消化器科のブログ

日々学んだことを備忘録として記します。

脳卒中の内科的アプローチ

O'Donnelらによる脳卒中の危険因子

虚血性脳卒中発症の危険因子:高血圧(寄与度45.2%)、脂質異常症(35.2)、運動不足(29.4)、肥満(26)、喫煙(21.4)、心臓病(8.5)、糖尿病(7.9)。

脳出血発症の危険因子:高血圧(寄与度73.6%)、運動不足(27.6)、肥満(26.1)。

 

脳血管障害を合併する高血圧の治療

https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/104/2/104_232/_pdf

両側頚動脈高度狭窄(高度狭窄とは通常NASCET≧70%)、脳主幹動脈閉塞の場合、下げすぎ注意。ラクナ梗塞、抗血栓薬併用時には更に低いレベル130/80mmHgを目標。

Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬にはエビデンスがあるが、β遮断薬は脳血流を低下の懸念。

 

脂質異常症の治療 

高用量スタチン(日本では使用されない用量)の投与は、脳卒中の再発予防に寄与する。しかし、脳出血の既往のある高血圧を有する欧米高齢男性において脳出血の再発を誘発する可能性あり。

日本でのJELISの結果では、低用量スタチン+EPAが脳卒中患者の再発予防に有効。

 

糖尿病の治療

脳卒中予防効果、再発予防効果についてのエビデンスはない。

糖尿病はアテローム血栓脳梗塞の発症率が非糖尿病患者と比較して2倍。血管内皮障害の結果、血管反応性が低下し、脳の微小循環障害を引き起こす結果、皮質・皮質下の萎縮と代謝異常を引き起こす。

 

禁煙

男性では1日20本以上の喫煙は脳梗塞の危険因子。喫煙本数が多いほど脳卒中リスクは高くなる。5-10年後の禁煙により脳卒中リスクは低下。

 

心臓病

心房細動にはアスピリンDAPTではなく、抗凝固薬を。

 

その他のこと:大脳白質病変は脳卒中および認知機能障害の高リスク群。

大脳白質病変のリスク因子:高血圧、Mets,CKD、血中ホモシステイン、喫煙

高血圧の積極的治療を考慮してよい。