骨粗鬆症の強度を決める要因
骨強度の約70% は骨密度によって説明することができ,残りの30%が骨質によって 規定される .骨質は大きく構造特性と材質特性の2つに分けられる。
構造特性には骨のマクロやミクロの構造,材質特性には骨代謝回転,骨内部の微細な損傷,石灰化の状態,コラーゲンの状態などがあてはまる.
現在,骨粗鬆症の臨床診断では,二重エネルギー X 線吸収測定法(dual-energy X-ray absorptiometry,DXA)による BMD の測定が標準とされ,精度の高さや低被曝線量等の利点から広く普及しているが ,骨質の評価法についてはまだ十分に確立していない. 構造特性について腰椎 DXA の骨画像を解析して海綿骨微細構造と関連する指標(海綿骨スコア, trabecular bone score,TBS)を求める方法や、皮質骨と海面骨の構成を加味した強度評価法である大腿骨強度評価(HSA)などがある。
材質特性については、AGEs架橋によるコラーゲン架橋の劣化が主体と考えられている。AGEs架橋は、アパタイト配列の異常を生じさせるとともに、弾力性の少ない構造を作るため、微小骨折が生じる。AGEs架橋の程度は、活性酸素の増加、加齢、性ホルモン低下、生活習慣病など、活性酸素に由来する酸化ストレスの要素と、蛋白の新陳代謝の抑制の要素によって決まる。AGEs架橋の代表はペントシジンである。
性ホルモンは、コラーゲン線維の正常な架橋(共有結合)を促進する。また、酸化ストレスの影響を抑制する。結果として骨質を改善する。
骨粗鬆症による骨折リスクの評価
FRAXが有名であるが、骨質劣化が加味されていない。
日本人における骨粗鬆症の構成
低骨密度 50% 骨折リスク ×3.6
骨質劣化 30% 骨折リスク ×1.5
混合型 20% 骨折リスク ×7.2
骨密度:骨密度は、DXA、CT、HR-pQCTなど、X線ベースで測定される。
危険因子がなければ、YAM≦70%が骨粗鬆症とされるが、実際には多数の骨折患者は<80%に入る。
骨密度は、DXA、CT、HR-pQCTなど、X線ベースで測定される。
骨の吸収マーカーと相関があり、尿中NTx、血中TRAP5bなどがある。
骨の形成マーカーには、血中P1NP、BNPなどがある。
骨質劣化の指標
骨質劣化の指標として、DM(HbA1c>7.5%、ロッテルダム コホートから)、CKD(eGFR<60)、腹部大動脈の石灰化が2椎体以上、血中ペントシジン>0.05または尿中ペントシジン>11、血中ホモシステイン>10などがある。精度の高いペントシジン測定は、マーキットM尿ペントシジンであるが、保険適応されない。