保坂内科消化器科のブログ

日々学んだことを備忘録として記します。

鉄利用の制御

体内に20兆個存在する赤血球が含有する鉄は、体内の鉄(3-4g)の約70%を占める。ヘモグロビン産生に使われる鉄のほとんどは、老廃化しマクロファージで処理された赤血球由来の鉄(20-25mg)の再利用である。腸管から吸収される鉄は1-2mgとされる。

鉄は主として十二指腸、空腸上部で吸収されるが、食事に含まれる鉄は非ヘム鉄とヘム鉄の2種類あり、それぞれ吸収のメカニズムは異なる。肉類に多く含まれるヘム鉄の吸収率は10-30%、植物系食品に多く含まれる非ヘム鉄の吸収率は1-8%とされている。

 

腸管上皮、マクロファージから細胞外へ鉄を排出するたんぱく質は共通のフェロポーチン(ferropotin)で、肝臓から分泌されるヘプシジンがフェロポーチンの鉄排泄機能をブロックする。血液中の鉄レベルが減少し、生体防御が成立すると考えられている。

 

腎におけるEPO産生細胞において低酸素状態を検知すると、HIFが増加し、EPO産生が亢進する。赤芽球におけるEPO-EPORの結合により、JAK2-STATS5系が活性化され、エリスロフェロンが増加、それによりヘプシジンが肝臓からの分泌が抑制される。

炎症によってIL-6等の炎症性サイトカインは、肝臓からのヘプシジンの分泌を誘導する。

 

血液中に放出された鉄は、トランスフェリンと結合し、骨髄へと運搬され、トランスフェリン受容体と結合することで、細胞にエンドソームに取り込まれる。その後、エンドソーム外に放出されるが、その後ミトコンドリアに移動してヘム合成に用いられる。