保坂内科消化器科のブログ

日々学んだことを備忘録として記します。

細菌感染症と検査所見

細菌感染とマクロファージ

細菌が体内に侵入すると、最初にマクロファージが反応し、細菌を貪食する。

活性化したマクロファージは、好中球遊走刺激因子とIL-6を産生する。IL-6は肝臓においてCRPの産生を促し、4-6時間でCRPの産生が開始され、8時間ごとに倍増する。CRP半減期は19時間である。

細菌感染と好中球

活性化したマクロファージからの好中球遊走因子に反応して血中を流れている好中球が感染巣に遊走し、細菌を貪食する。血中の好中球が不足すると、脾臓・肝臓・肺の毛細血管壁に付着している滞留プールの分葉核球が血中に動員される。それでも不足する場合には、骨髄プールの好中球が動員される。それでも不足するときには骨髄が産生を亢進する。この動員までに12-24時間かかる。

桿状核球の割合と白血球数によって、好中球産生量を推定できる。生体が感染が適切に制御されている場合、桿状核球数が好中球消費量を表しているとみなされる。日本では桿状核数の割合は、15%を増加の基準値とすることが多い。好中球が増加していると言うことは生体が十分好中球を供給していることを示す。逆に少ないと言うことは十分に供給できていない可能性を示唆する。

桿状核球は自動血球計数器で桿状核球と分葉核球を区別することはできず、目視による確認が必要である。

細菌感染症の検査所見:多くは左方移動の程度が大きく、CRPが15を超える。細菌感染症以外で左方移動を示す疾患には、大量出血(CRPは軽度の上昇)、重症ウイルス感染症(血管内皮障害によって好中球が毛細血管壁に付着、CRPは軽度の上昇)などがある。

一方、左方移動を示さない重症細菌感染症:感染性心内膜炎、細菌性髄膜炎、膿瘍があり、注意を要する。感染性心内膜炎を最近量が少ないため、血流プールの好中球で対処できるため。細菌性髄膜炎及び膿瘍では、血中の好中球が感染巣に移行できないため。

細菌感染に伴う敗血症では凝固の亢進が生じるため、血小板が減少し、フィブリノーゲンも減少する。いずれにしても、時系列でデータを捉えることが大切である。